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原酒と生酒を間違って覚えている人も意外と多いようです。
原酒と生酒の定義は次のようになっています。
原酒・・・アルコールの加水調整をしない酒。
生酒・・・一切加熱処理をしない酒
酒の製造過程において、搾ったままの酒に加えるものが水であるか
熱であるかによって原酒と生酒の違いとなります。
このことから、純米タイプの酒でも、アルコール添加(アル添)された
本醸造タイプの酒でも、水が加えてなければ原酒で、
加熱されていなければ生酒です。
ところで、搾った酒に水を加えたり、加熱するのは何故なのでしょうか?
水を加える処理は、日本酒にかけられる酒税の税率が原因ともなります。
酒税の税率は、アルコールの度数に応じて定められており、アルコール
度数15%が基準で、この基準から1%上下するごとに税率が加算
されたり、減算される仕組みになっています。
もともと、日本酒は、醸造酒の中では世界で最もアルコール濃度が高い
酒とされています。
このため、醪(もろみ)を搾ったままだと、20~22%ものアルコールを
含んでいるものもあり、造り方によって度数に差が出てきます。
しかもバラツキの差は1%や2%程度ではなく、かなり広いようです。
基準を15%にすることでアルコールが出すぎたものを水で薄めて均一化
できるようにしています。
一方、加熱処理は、税とは関係なく麹(こうじ)による酵素の働きを抑えて
品質を安定させることが目的となります。
加熱処理をしない酒が、貯蔵中に成分の変化が起こりやすいのも酒の
特徴のひとつです。
原酒も、生酒もそれぞれが搾ったままという共通点があり、このことが
混乱の原因ではないかと思われます。
原酒の魅力はアルコール度数が高いダイナミックな味わいで生酒の魅力は
生きた酵母によるフレッシュな味わいにあると言われています。
近頃は、加熱も加水もしない生原酒も注目されています。
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